インド版 Think with Google が 2026 年 7 月に公開した記事を基に日本語に翻訳し、編集しました。
検索の進化は、あらゆる業界において顧客との関係性を根本から再構築しています。
AI の進化により、Google 検索は単なる Web サイトのリストから、高度で対話的なやり取りへと発展を遂げました(英語)。現在、「AI モード」や「AI による概要」といった会話型の検索体験により、人々が重要な意思決定に必要な関連情報を見つける際の手軽さ、スピード、確信度が大きく変化しています。
このような変化が特に大きな影響を与えているのが、インドの銀行・金融サービス・保険業界です。同業界の顧客は、長期的な契約を結ぶ前、金融データを調べ尽くすために多大な時間と労力を費やす傾向があります。
今回は、AI を活用した Google 検索がカスタマージャーニーにどのような影響を与え、金融業界のマーケターにとって質の高い見込み顧客やコンバージョン(CV)を獲得する上で、どのような役割を果たしているのかをひもときます。
Google 検索は、ユーザーのインテントとカスタマージャーニーにどのような影響を与えているのか
インドの顧客の 90% 以上にとって(英語)、金融商品の購入プロセスはオンラインから始まり、複数のタッチポイントをまたいで進んでいきます。
実際に、金融商品の見込み顧客は、他カテゴリよりも深く比較検討を行う傾向があります。家電、自動車、美容、小売といった金融以外のカテゴリで利用されるタッチポイントが最大でも 5 つにとどまるのに対し、金融業界では平均 5 つ以上のタッチポイントが利用されています(*1)。
金融商品ならではの専門用語を理解し、関心から購入へとスムーズに進むために、人々は AI を活用した Google 検索をますます頼りにするようになっています。Google 検索は、金融商品に関する情報収集をより手軽に、深く、そして素早く行えるよう、以下の 3 つの側面からサポートしています。
1:専門用語のわかりやすい解説
AI による概要は、関連性の高い有用な情報をわかりやすくまとめて提供します。さらに、対話型の応答と高度な推論を活用しているのが AI モードです。複雑な金融のトピックをわかりやすくひもとき、絶えず変化する人々のニーズに適したコンテンツを提示します。
また、インドのユーザーは「クレジットカード」といった一般的な検索クエリではなく、「年会費無料で海外のラウンジが利用できるクレジットカード」のような、より細かな条件を含む会話型の質問を現地の言語で問いかけるようになっています。
ヒンディー語からタミル語、マラヤーラム語まで多数の現地言語に対応している AI モードは、こうした人々の検索行動の変化に適切に対応しています。
2:より深い比較検討のサポート
十分な情報に基づいたファイナンシャルプランの作成や意思決定を行うため、Google 検索を利用する人は「国民年金の退職口座に最適な年金運用会社はどこか」といった多角的な質問をするようになっています。
AI モードは、こうした質問を複数のトピックに分割し、それぞれのトピックに関する質の高いコンテンツを同時に検索することで、より深い比較検討をサポートします。これにより、回答の正確性が高まり、ユーザーからの信頼獲得につながっています。
Ipsos の調査によると、インドにおける金融商品の見込み顧客は、情報を収集する過程で、他の主要な検索エンジン、SNS、ストリーミングサービス、AI プラットフォームよりも、Google のサービスや YouTube で得られるコンテンツや情報を信頼していることがわかっています(*2)。こうした信頼性の高さこそが、多くの見込み顧客がこの 2 つのプラットフォームを好んで利用する理由です。
3:時間を節約する市場調査の提供
情報収集から意思決定までのステップを短縮するため、AI を活用した Google 検索は、金融商品の詳細な分析や比較を迅速に提示します。実際にインドでは、AI による概要や AI モードを利用した人の多くが、「より短時間で(84%)」「より確信を持って(87%)」意思決定できたと感じています(*3)。
マーケターが一般的な検索クエリに対応するだけでなく、多角的に広がる検索体験全体を捉えるようになれば、マーケティング効率は飛躍的に高まるのです。
好例として、インドの保険比較プラットフォームである PolicyBazaar の取り組みが挙げられます。同社は、現地の言語で検索を行う購買意向の強い顧客層に眠る需要を効率的に取り込むため、「検索キャンペーン向け AI 最大化設定」を活用しました。
AI 最大化設定の導入により、これまでアプローチできていなかった新しい検索クエリへとリーチを広げ、顧客のライフステージごとのニーズに合った広告を配信しました。その結果、医療保険の売上が 28% 増加すると同時に、顧客獲得単価(CPA)は 23% 改善という素晴らしい成果を収めました。
AI を活用した検索が初期の認知度向上と質の高い見込み顧客を獲得できる理由
AI を活用した Google 検索は、金融知識を知りたいというニーズを満たすだけでなく、人々が自社に合ったブランドに出会うまでのプロセスもスムーズにしています。Google 検索は以下の 2 つの側面から、見込み顧客の確度を見極める強力なエンジンとして機能しているのです。
1:追加コストなしで認知度を高める:人々が金融サービスについて学ぶのをサポートすることで、マーケターは追加の広告費をかけることなく、カスタマージャーニーの早い段階から顧客に働きかけることができます。
2:関心の低い層とのミスマッチを防ぎ、確度の高い顧客を獲得する:「AI 検索の普及により、自社の Web サイトへのアクセスが減るのではないか」と懸念する声もあります。しかし実際には、購買意向の低い質問には検索結果上で直接回答が示されるため、用語の意味を知りたいだけの人がサイトを訪れてすぐに離脱してしまうといった事態を防ぐ効果があるのです。
つまり、なんとなくサイトを閲覧する行動が、情報を十分に得て前向きに検討する「確信に満ちたクリック」へと変化します。その結果、Web サイトを訪れるトラフィックの質が大きく向上するのです。
幅広い検索クエリにまたがる現代の CV 経路において、保険会社の HDFC Ergo は新たなアプローチを取り入れました。あらゆる検討段階を網羅する AI 最大化設定と需要に応じた予算のペース配分(英語)を組み合わせたのです。自動化とリアルタイムデータを活用し、あえてキーワードを指定しないアセットベースの仕組みへと移行しました。これにより、従来のキーワード戦略では見落とされがちだった複雑な検索クエリや、市場の新たなオーディエンスの需要を取り込むことに成功しています。
損害保険会社の Acko General Insurance も、こうした見込み顧客を見極める仕組みを活用して成果を上げています。人々が購入の意思を固めつつある情報収集の段階では、従来の広告はほとんど表示されません。同社はそこに、検索ユーザーからの早期の認知と CV を獲得するチャンスを見出したのです。
AI 最大化設定を利用することで、「バイクに最適な保険」「二輪車保険の比較」といった具体的な検索クエリから質の高いトラフィックを獲得。これにより、バイク保険の見込み顧客を 21%、自動車保険の見込み顧客を 8% 効率的に増やすことに成功しました。
AI を活用した検索マーケティングの推進力:データの力
優れた金融業界のマーケターは、Google 検索を利用して質の高い見込み顧客を獲得するだけではありません。Google の AI を最大限に活用し、獲得した CV を確実なビジネスの収益へと結びつけています。
そうした企業は、単なる見込み顧客の数ではなく、より価値の高い顧客に合わせて検索キャンペーンのパフォーマンスを最適化するため、以下の流れでデータ基盤を強化しています。
- オーディエンス シグナルの集約:Web サイト、アプリ、顧客管理(CRM)システム、Google アナリティクスを統合し、AI を機能させるための統合データとして活用します。
- サーバーサイド タグ設定の導入:自社サーバーから Google タグを配信することで、データの品質を向上させます。Google タグ ゲートウェイを導入した企業は、平均 14% の CV 増を確認しています。
- 「価値に基づく入札戦略」でデータを活用:AI を活用した入札戦略を、単なる CV 単価だけでなく、投資対効果(ROI)やライフタイムバリューに対して自動で最適化します。
資産運用会社の Kotak Mutual Fund は、豊富なオーディエンス シグナルが検索広告のパフォーマンスを後押しすることを理解していました。そこで、ファーストパーティ データを AI 最大化設定に統合し、より幅広い市場の需要を取り込むことに成功。未開拓だった一般的な検索の関心をより高い売上へと変換しました。
AI 時代において、銀行・金融・保険サービスの定石は劇的に変化しました。成功を収めるのは、単にキーワードのボリュームを最大化する企業ではありません。データドリブンなアプローチと AI を活用した Google 検索を「信頼のアクセル」として位置づけ、顧客が確信を持って自社を選べるようサポートする企業です。
これこそが、現代の CMO に突きつけられた明確な課題と言えます。これからは、会話型の検索体験の中に自社を組み込み、顧客の好奇心と確信の間のギャップをいかにして埋めていくか、その戦略が求められるでしょう。
Contributor:ネハ・ヌプル(Head of Search & Shopping ,Google India)/メグナ・シャンカラナラヤナン(Industry Head, Fintech ,Google India)
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