本記事は、US 版 Think with Google のポッドキャスティング番組「Modern Marketers」を日本語に翻訳し、抜粋・編集したものです。この番組では、業界をリードするマーケターやブランドの責任者らに話を聞き、現代のマーケティングのあり方や実践をひもときます。今回は HubSpot のキップ・ボドナー氏(CMO)が登場しました。なお、ポッドキャスト本編は英語ですが、YouTube では日本語字幕で視聴可能です。
BtoB マーケティングの鍵は「勇気」と「短期成果」
HubSpot は、顧客管理(CRM)機能を中心に、マーケティングや営業、カスタマーサービス向けのツールを統合したクラウド型プラットフォームを提供する会社です。特に、有益なコンテンツによって顧客側から自社を見つけてもらう「インバウンドマーケティング」にいち早く取り組んできました。
BtoB ビジネスの第一人者であるボドナー氏ですが、BtoB マーケティングの多くは埋没しており、差別化に成功していないと率直に語ります。ただしその原因はマーケターにあるのではなく、企業やリーダーが「競合他社とは異なる存在になる」という信念を貫けていないことにあると、ボドナー氏は指摘します。信念を貫く方法の 1 つとして、業界経験者ばかりでチームを固めるのではなく、あえて業界未経験でも優れたマーケティング能力を持つ人材の採用を挙げています。業界知識よりも、優れたマーケティング能力の方が得がたいと述べました。
またボドナー氏は、マーケティングの価値は短期、中期、長期とさまざまな時間軸で生まれる点を踏まえるべきだと語ります。特に BtoB では購入サイクルが長期にわたる場合もあるからこそ、まずはマーケティングの価値を社内に示すために「短期的な成果」が重要だと指摘します。「短期的に機能する施策が十分になければ、誰も中長期的な施策のことなど気にかけてくれない」からです。そのため、まずは予算の 70 〜 75% を効果測定しやすい短期的な施策に投下して成果を出し、その上で残りの予算を、効果測定は難しいものの将来に向けたブランド投資などに充てる、といった考え方を推奨しました。
リソースとスピードを両立させ、「クールなこと」を仕掛ける
さらにボドナー氏は、顧客層にとって「クールであること」の価値を理解し、他社がやらないことを迅速に実行する重要性を強調します。この「迅速性」の文化を組織に浸透させるには、CMO などの意思決定者自らが模範を示すことが不可欠です。
ボドナー氏は、あるインフルエンサーが SNS に「大学フットボール全米選手権のチケット 8 枚分の代金を支払ってくれたら、あなたのブランドのために何でもします」と投稿したのをきっかけに、数時間でその申し出を受諾し、施策を実行したバイラルマーケティングの事例を挙げました。この一連のやりとりはオンラインで大きな話題となり、数千万ものインプレッションを獲得しましたが、ボドナー氏が強調するのは、数字以上にこの出来事が人々の記憶に強く刻まれたという点です。後に世界的なビジネスカンファレンス「SXSW」で多くの人から声をかけられた際、話題になったのは多額の予算をかけたブランドキャンペーンではなく、この機転の利いた施策の方だったと言います。「これこそが『クールであること』の価値です」(ボドナー氏)
ボドナー氏によると、企業は「リソースは豊富だが動きが遅い」大企業と、「迅速だがリソースがない」中小企業に大別できます。彼が目指すのはその両者の強みを兼ね備えた「リソースを持ち、迅速に行動し、何をすべきかを知っている稀有な企業」であり、そのような企業こそが世界を変えることができる、と語りました。
前半のエピソードは、BtoB ビジネスのマーケティングの特徴について、後半のエピソードは、迅速に実行することの重要性について述べたものです。ポッドキャストでは他にも、 ボドナー氏がマーケティングを初めて意識した原体験や、AIをはじめとするテクノロジーの急激な変化にマーケターとしてどう向き合うべきかといったテーマについても触れています。なお、ポッドキャスト本編は英語ですが、YouTube では日本語字幕で視聴可能です。
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