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データから​見えた​「パルス型」消費行動——瞬間的な​購買行動が​増えている​:買いたくなるを​引き出すために​:パルス消費を​捉える​ヒント​(2)

小林 伸一郎

Social Module

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前回は、​現在の​買物環境、​なかでも​消費財市場の​現状に​ついて、​データを​もとに​俯瞰しました。​今回の​記事では、​そこから​見えてきた​特徴を​生活者の​視点で​解明します。

データが​語る​新たな​ 3 つの​トレンド

グーグルは、​購買意欲が​刺激される​要因を​明らかに​する​ため、​大規模な​定量調査に​加え、​さまざまな​タイプの​人々に​対して​自宅訪問や​買い物への​立ち会いと​いった​観察型の​定性調査を​実施しました。​以下は、​その​調査結果から​見えてきた​大きな​トレンドです。

買い物行動への​影響

買いたくなるを引き出すために - パルス消費を捉えるヒント

1) 今、​人々は​買う​瞬間まで​知らなかった​名前の​商品を​買うことに​躊躇しなくなってきている
​2) 今、​人々は​何かを​買う​ために​お店や​ ECサイト に​行く​時点で、​具体的に​どの​商品を​買うかまだ​決めていない​ことが​多い
​3) 今、​人々は​暇つぶしに​スマホを​眺めている​時に、​偶然​知った​商品を​その場で​買うことに​躊躇しなくなってきている

現代の​日本人に​とって、​24 時間すべてが​買い物の​タイミングであり、​空き時間に​スマホを​操作しながら​瞬間的に​買いたい​気持ちに​なり、​買いたいと​思う​商品を​発見し、​その​瞬間に​買い物を​終わらせると​いう​消費行動が​広まっている​ことが​わかります。

パルス型消費行動

買いたくなるを引き出すために - パルス消費を捉えるヒント

われわれは​このような​行動を​「パルス型消費行動」と​呼び、​従来のような、​ある​程度​時間を​かけて​買いたい​気持ちを​醸成させる​「ジャーニー型消費行動」とは​区別すべきと​考えました。​注意しなければならないのは、​これらの​行動が、​趣味的な​商品に​対する​非​日常的な​買い物行動ではなく、​日常的に​消費する​商品に​対して​行われている​点です。​その​意味で、​従来型の​「衝動買い」とは​一線を​画した​消費行動だと​言えます。

この​パルス型消費行動は、​スマートフォン上で​展開されるさまざまな​ショッピング サービスの​普及と​軌を​一に​しています。​この​背景には、​スマホに​よっていつでも​どこでも​情報収集が​できるようになった​ことや、​暇つぶしに​検索、​SNS、​アプリ、​動画サイト、​マップなどを​使って、​漠然と​気に​なっている​事柄を​調べる​習慣が​広まり​つつある​ことも​影響しています​( 2015 年以来、​グーグルは、​このような​行動を​マイクロモーメントと​定義しています )。

この​「なんと​なく​気に​なっている」​事柄は、​「先取り欲求 (これからしなければならない​何か)」も​しくは、​「確認欲求 (すでに​行った​何か​) に​関連している​場合が​多いのですが、​行動を​開始する​時点では、​具体的な​商品に​対する​検索では​ありません。​「パルス型消費行動」が​目立つ背景と​して、​これらの​行動の​途上で​出会った​情報が​きっかけで​突発的に​購買意欲が​刺激され、​刺激が​一定量以上に​達した​場合、​その場で​購入に​踏み切る​ケースが​増えている​ことが​考えられます。

「パルス型消費行動」の​特徴と​して、​特定の​商品を​購入する​意図を​持たない​情報収集から​開始する​場合が​多いことが​挙げられます。​具体的には、​ひどい​花粉症に​悩んでいる​人が、​「花粉症の​時期には​沖縄に​旅行に​いく」と​いう​ブログを​スマホで​目に​した​結果、​衝動的に​沖縄旅行を​予約してしまうと​いった​行動です。​この​例で​いえば、​花粉症に​悩んでいる​人は​多くの​場合すでに​薬を​飲んでいます。​それでも​好転しないと​いう​「悩み」に​対して、​旅行と​いう​想定外の​「ソリューション」を​偶然知るのです。​この​場合、​「花粉で​つらい​自分」と​いう​意識が​高まった​状態で​情報に​接触しています。​この​ためブログの​記事に​セレンデピティを​感じ、​商品の​存在を​知った​瞬間、​それまで​想定していなかった​購買行動に​一気に​踏み切ったと​考えられます。

EC サイトで​商品を​カートに​入れ、​結局​その​商品を​買わない

買いたくなるを引き出すために - パルス消費を捉えるヒント

一方で、​刺激が​十分でなかった​場合、​その​商品は​ショッピングカートに​入れたまま​忘れ去られる​結果に​なることも​わかっています。​(上図参照)

もちろん、​誰もが​このような​形式で​購買するようになるとは​あまり​考えられません。​現時点では、​日用品は​近所の​スーパーで​生鮮食品などと​一緒に​買うと​いう​行動の​方が​多く、​今後も​この​パターンは​継続するでしょう。​しかし、​自らの​行動を​振り返れば、​従来とは​異なる​購買行動が​出現しつつあると​いう​ことに​ついて、​思い当たる​人も​多いのではないでしょうか。

それでは、​生活者の​パルス型購買意欲が​高まるのは​どのような​場合なのでしょう。​ インタビューや​買い物同行の​中で、​その​商品を​選んだ​理由を​質問すると、​被験者は​さまざまな​理由を​答えようとします。​しかし​突き詰めてみると、​多くの​場合​「なぜと​聞かれても、​なんとなく」​「なんと​なく​ピンときたから」と​いう​曖昧な​回答でした。​つまり、​理由は​まだ​言語化されていないのです。

この、​「ピンときた」を​さらに​掘り下げる​ことは​できないのでしょうか?​ この​点に​ついて​集中的に​分析を​行い、​定性調査の​被験者から、​買い物中の​気分や​動機、​前後の​行動、​日々の​習慣などを​聞き取り、​観察を​重ねました。​その​結果、​多くの​生活者は​その​商品を​見た​時、​言葉を​超えた​ ”ピンとくる​” 印象、​いわば​「直感センサー」とも​いえる​ 6 つの​感覚を​受け取っている​ことが​わかったのです。

生活者は​なぜ​それを​選ぶのか?​ 6 つの​直観センサー

買いたくなるを引き出すために - パルス消費を捉えるヒント

その​直感センサーは、​「セーフティ」​「フォーミー」​「コストセーブ」​「フォロー」​「アドベンチャー」​「パワーセーブ」の​ 6 種類に​分類できます。​次回の​記事では、​これら​ 6 つの​直感センサーの​特徴を​ご紹介します。

コンシューマーマーケットインサイトチーム リサーチ部門統括 (日本 | 韓国) 小林 伸一郎

小林 伸一郎

コンシューマーマーケットインサイトチーム リサーチ部​門統括 (日本 | 韓国)

出典 (5)

* 記載が​ない​データ・数値は、​全て​ Google コンシューマーマーケットインサイトチームに​よる​調査

定量調査: 10,000人 / 男女 25 - 64 歳 / 半年に​ 1 回 は​消費財 / 耐久財を​ EC で​購入する​人

定性調査: 事前課題 126 人 / 本調査 12 人

消費財: ヘアケア / ビール類 / ソフトドリンク類 / 生鮮食品

耐久財: 洋服 / 生活家電 / 情報家電 / 自家用車 ( 自家用車に​関しては、​1年以内​購入者 )

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