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ユーザー体験の​ため部門を​越えた​共通指標を​設定 —— ​「バイトル」が​月間応募数 8% 改善

神谷 俊昭

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デジタル技術を​活用した​ビジネスモデルの​変革​(DX)を​進めようと​デジタル部門を​設置しても、​部署を​越えた​連携や​目標設定が​うまく​いかず、​ビジネスの​変革まで​至っていない​企業も​少なくないのではないでしょうか。

経済産業省は、​DX を​進める​上での​ IT システムの​見直しに​ついて​「ビジネスを​どのように​変革するかと​いう​経営戦略が​必要であり、​それを​実行する​上での​体制や​企業内の​仕組みの​構築等が​不可欠」と​指摘しています(*1)

た​とえば、​マーケティング部門は​コンバージョン数、​営業部門は​売上など、​部門ごとに​別々の​目標を​掲げている​状態だと、​本来の​ゴールを​見失ってしまい​組織の​サイロ化​(業務や​システムが​他部署と​連携できずに​孤立する​こと)を​招いてしまう​恐れも​あります。

このような​課題を​ UX の​視点から​解決する​方​法論を、​Google では​「Design Sprint」と​して​まとめています。​Design Sprint は、​Google が​自社プロダクトの​ UX 改善に​使っている​フレームワークで、​数日ほどの​短期間で​プロダクトの​開発や​改善が​可能です。​新しい​プロダクトや​サービスの​立ち上げ、​既製品への​新機能​追加、​既存サービスの​プラットフォーム拡張など、​さまざまな​用途に​活用できます。

Design Sprint の​プロセスは、​次の​ 6 つの​工程から​成り​立っています。

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この​記事では、​求人サイト​「バイトル」を​運営する​ディップ株式会社が、​Design Sprint の​考え方を​通して、​組織の​サイロ化を​解決した​事例を​紹介します。​同社は、​Design Sprint を​ベースに​部門を​越えて​連携し、​プラットフォームを​横断した​マーケティングを​展開。​部門間の​共通指標と​して​新たに​「アプリからの​応募数」を​設定し、​その​指標を​改善できました。

ユーザー体験を​考慮した​ハイブリッド型マーケティングの​実現に​向け Design Sprint を​実施

求人業界では、​提供サービスが​ Web サービスから​アプリへ​移行しています。​特に​若年層を​中心に​その​傾向は​顕著で、​「バイトル」の​平均求人応募数は、​アプリが​ Web の​ 2 倍と​いう​データも​出ていました。

この​ためディップも、​「バイトル」​ユーザーの​アプリシフトを​進めたいと​考えていました。​ただ、​アプリの​広告予算を​増やすだけでは​獲得単価が​上がってしまう​可能性も​あります。​その点で​マーケティング投資を​増やす​ことを​ためらっていました。

そこで​同社では、​Web を​中心とした​既存の​マーケティングから​アプリ中心の​マーケティングへの​単純な​移行ではなく、​Web と​アプリ両方の​活性化を​目指すハイブリッド型の​マーケティングに​進化させる​ことを​目指したのです。​その​中で​アプリの​ UX を​改善する​ことで、​獲得効率を​高め、​アプリへの​さらなる​投資に​踏み切ろうと​考えました。

従来ディップでは、​マーケティング部門は​インストール重視の​ KPI、​UX 部門は​ LTV 重視の​ KPI など、​部門に​よって​目標指標が​分断され、​組織の​サイロ化が​起きていました。​さらに​言えば、​マーケティング部門の​中でも​ Web 向け施策 と​アプリ向け施策で​目線が​そろっておらず、​Web では​応募数を​重視していた​一方、​アプリは​新規インストールを​重視すると​いった​状態でした。

しかし​ハイブリッド型の​マーケティングを​実現するには、​マーケティング部門、​UX 部門、​開発部門などの​ステークホルダーが、​部門を​越えて​連携する​必要が​あります。​そこで​今回は​「ユーザーに​価値を​届ける​スピードを​より​早めるには​どう​すれば​いいか」と​いう​課題を​軸に​部門間で​目線を​合わせて​サイロを​打破する​ため、​それを​解決する​一環と​して​「Design Sprint」を​実施しました。​具体的に​どのような​取り組みを​行ったのか​見ていきましょう。

部門を​越えた​指標を​共有、​組織の​サイロ化を​打破

今回、​同社では​ UX 部​門主導のもと、​エンジニア 2 人、​デザイナー 3 人、​データアナリスト 1 人、​企画部​門から​ 4 人が​ Design Sprint に​参加。​課題の​洗い​出しから、​プロトタイプの​制作、​ユーザーヒアリング、​プロトタイプの​改善までを​ 3 日間で​実施しました。

Design Sprint では​その​効果を​高める​ため、​まずは​じめに​「心理的安全性​(サイコロジカルセーフティ)」が​重要であると​いう​レクチャーが​組み込まれています。​新しい​発想や​気持ちを​自由に​発言する​上で、​心理的安全性は​不可欠だからです。

実は​ディップは​以前にも、​サービスの​課題を​解決するべく、​UX 部門、​データ部門、​開発部門などの​メンバーが、​部門を​越えて​議論したことがありました。​しかし​その​時は​参加人数が​多かったことも​あってか、​心理的安全性が​十分とは​言えませんでした。​開発部門の​メンバーからの​発言が​乏しいなど​議論が​思うように​進まず、​具体的な​解決策を​導くまでには​至らなかったのです。

今回の​ Design Sprint で​同社は​「関係​各所が​しっかりと​意見を​言える​空間づくり」から​始めた​ことが、​ポイントに​なった」と​振り返っています。

Design Sprint の​ 1 日目は​課題や​施策を​考える​際の​抜け漏れが​起こらないように、​各部門の​リーダーに​よる​ LT​(ライトニングトーク、​数分間の​プレゼンテーション)を​実施。​それぞれが​抱える​課題を​明確にし、​全員で​共有しました​(Design Sprintの​「理解する」​「定義する」フェイズ)。​その後、​参加者が​ 1 ​人ずつ課題を​出し合い​(同じく​「発散する」フェイズ)、​全員で​グルーピングして​施策を​具体化​(同​「決定する」フェイズ)。​2 日目は​プロトタイプの​作成​(同​「試作する」フェイズ)、​3 日目は​ユーザーヒアリングした上で​改善案を​まとめる​(同​「検証する」フェイズ)と​いう​流れです。

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ディップ社内では​これまで、​企画部門で​開発したい​機能や​要望を​ある​程​度​固めた​上で、​開発部門に​相談すると​いう​流れが​一般的でした。​しかし​今回は、​LT に​開発部​門も​参加した​ことで、​同じ​目的や​課題感を​持ちながら本質的な​議論が​できたと​いいます。

その​結果、​これまで​部門ごと、​あるいは​ Web と​アプリで​分断されていた​目標を​共有し、​最終的な​アクションである​「総求人応募数の​最大化」と​いう​共通の​目標を​設定できました。

ユーザージャーニーの​可視化と​共有から​プロトタイプの​開発まで

ディップが​ Design Sprint で​実行した​具体的な​改善施策に​ついて​見ていきましょう。

当初の​狙いであった、​Web と​アプリを​横断した​ハイブリッド型マーケティングを​実現する​ため、​アプリ利用者の​獲得から​ LTV​( 1 人あたりの​求人応募数)​向上までの​ユーザージャーニーの​可視化と、​導線の​ UX 改善、​プロトタイプの​制作から​ユーザーテストまでを​実施しました。

まずは​マーケティング部門と​ UX 部門の​参加者が、​社内で​使っている​アナリティクスツールを​用いて、​顧客の​検索行動と​アプリ内での​行動を​可視化。​この​プロセスを​通じて​ Web と​アプリの​ LTV を​分析し、​再度 LTV の​重要性を​組織全体で​共有しました。​その上で、​LTV を​改善する​ための​顧客獲得や​リテンション​(顧客維持)に​取り組むと​いう​目線を​合わせました。

プロトタイプの​制作は​ UX チームの​プランナーや​ディレクター、​デザイナーが​主導しましたが、​その​後の​レビュープロセスでは、​開発部​門や​マーケ部門など​部門を​超えて​社内の​主要ステークホルダーを​巻き込みました。​その​後の​ユーザーテストでは、​サービス提供側の​意図を​組み込んだ​デザインや​機能が、​実際の​利用者には​見て​もらえなかったり、​気づいて​もらえなかったりすると​いった​課題が​明らかに​なった​ため、​それを​踏まえて​再度プロトタイプを​練り直しました。

月の​応募数は​ 8% 改善、​さらなる​マーケティング投資への​後​押しに

3 日間の​ Design Sprint を​終えた後、​Design Sprint に​おける​ユーザーテストの​反応を​踏まえて、​実装する​ UX 案の​選定や​改善できる​ポイントを​検討、​反映し、​条件変更画面の​改善に​取り組みました。

また、​実際の​アプリ導線での​テストと​して、​アプリキャンペーンに​加え、​モバイル端末で​ Web や​アプリに​設置したリンクを​タップした​際に、​自動的に​アプリ内の​特定の​ページに​遷移する​「ディープリンク」を​実装。​その後、​「下書きと​テスト」の​機能を​活用して、​検索広告から​アプリへ​遷移する​場合と、​Web ページに​遷移する​場合で​ AB テストを​実施し、​効果を​比較し、​広告を​配信する​ことで​効果差を​検証しました。

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実際に​ Design Sprint で​検討した​ UX の​改善案 3 つ

それらの​結果、​アプリからの​月間応募数は​ 8% 改善しました。​これを​受けて​ディップでは、​アプリへの​日別マーケティング投資を​ 2.5 倍に​増額。​今後​アプリへの​マーケティング投資を​加速しつつ、​さらなる​ LTV の​向上​(1 人あたりの​求人応募数増加)に​向けた​取り組みを​検討しているとの​ことです。

Design Sprint で​上流の​課題から​議論した​ことで、​アウトプットに​対しても​全員が​納得感を​持てたと​言います。​「開発部門だから」​「企画部門だから」と​いった​壁を​取り払い、​「利用者の​側に​立つ」​ことを​共通の​認識と​する​ことで、​部門に​かかわらず​新しい​チャレンジが​できる​環境も​整ってきたそうです。

今回紹介したような​考え方は、​さまざまな​ビジネス課題を​解決する​起点の​ 1​ つに​なり得ます。​ディップのように、​組織の​サイロ化を​打破し、​ビジネスを​変革していく​きっかけにも​なるでしょう。

組織で​ビジネスを​行う上では、​共通の​指標を​設定して​部門を​越えて​共有する​ことは​大切です。​Google は​今後も、​Design Sprint の​提供や​そうした​考え方を​紹介する​ことで、​企業の​ビジネス課題の​解決を​支援していきます。

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写真左から、​Design Sprint を​ディップ社内で​主導した、​システム統括部​システム開発1部の​江幡卓朗氏​(プロジェクトマネジメント課マネジャー)、​メディアプロデュース統括部​メディア編集部の​山下ロルミス氏​(プロダクトマネジャー)、​谷田部​成美氏​(デザイン課デザイナー)、​小林礼実氏​(メディア課ディレクター)

Contributor:
インダストリーマネージャー 大石直諒

神谷

神谷 俊昭

スペシャリスト モバイル UX リード

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