US 版 Think with Google が 2025 年 10 月に公開した記事を基に日本語に翻訳し、編集しました。
化粧品を中心に美容製品を展開する L’Oréal にとって、イノベーションは DNA そのものと言えます。製品開発から、その製品の魅力を引き出すキャンペーン展開に至るまで一貫しています。同社にとってイノベーションとは、単に変化に対応することではありません。測定可能な成長を促しつつ、顧客との間に意味のあるつながりを築くことです。
この精神は、同社の成長戦略の原動力となっています。マーケティングチームはこれまでも、インテント マッチや P-MAX キャンペーンなどをいち早く導入し、次なる大きな挑戦に挑む準備を整えてきました。
世界の顧客基盤を 2030 年までに 12.5 億人から 20 億人に拡大するという野心的な目標を掲げる同社は、検索広告を単なるチャネルではなく、重要な成長エンジンと位置付けています。この大きな目標を実現するには、従来とは異なる取り組みが必要でした。美容業界の競争は激化しており、顧客の購買行動はより流動的に、サーチング、ストリーミング、スクローリングを横断して、ショッピングにつながるものになっているからです。
検索広告を活用したマーケティング戦略をさらに前に進めるため、L’Oréal は検索キャンペーン向け AI 最大化設定の導入テストを行いました。その結果、変化する顧客行動をより素早く捉えて新たなビジネス機会を発見し、顧客にとって最も関連性の高い広告を配信することで、市場で一歩先んじることができました。
チリ市場で試験運用「AI 最大化設定」
L’Oréal はこれまで、価値に基づく入札やインテント マッチでの運用において、確かな実績を積み重ねてきました。Google の最新の AI 機能を試す準備が十分に整っていたと言えます。そこで、チリ市場のヘアケア・スキンケアキャンペーンに「AI 最大化設定」を導入。広告のスケール効果を検証しました。
これにより、検索クエリと Google 広告で設定したキーワードのマッチング精度が向上し、新たなトレンドを捉えられるようになりました。さらに、広告見出しと説明文のテキストのカスタマイズで関連性を高め、最終ページ URL の拡張によって購買行動の最適化も実現しました。
これらの機能を組み合わせることで、タイムリーで柔軟なキャンペーン配信が可能に。顧客 一人ひとりのインテントを汲み取り、最適な製品提案へと結びつけられるようになりました。
新たな顧客層の掘り起こしに成功
その成果は、明確に、そしてすぐに現れました。L’Oréal は「顔のシミに効く最高のクリーム」のような、購入意向の強いクエリを発掘し、これまで想定していなかった新たな顧客層の獲得に成功しました。
L’Oréal Groupe Chile のニコラス・モヤ・エングバー CMO は「AI 最大化設定のおかげで、コストの削減、コンバージョン率の向上、エンゲージメントを大幅に高める最適な広告体験を通じて、未開拓層にアプローチし、新たな市場に参入できました」と説明しました。
L’Oréal Internal Data, 2025.
他のマッチタイプと比較して、キャンペーン全体のクリック率(CTR)は 67% 向上しました。同時にコンバージョン単価(CPA)は 31% 改善し、リーチと効率性を両立させました。角質ケア用のグリコール酸製品のコンバージョン率は 2 倍に、同じく美容液では 1.7 倍に増加。全体として、このキャンペーンはコンバージョン値を 27% 押し上げ、広告費用対効果(ROAS)を 20% 改善させるなど、素晴らしい成果を上げました。
L’Oréal 事例からマーケターが学ぶべき 4 つの原則
L’Oréal の事例から、自社の検索キャンペーンに応用できる 4 つの原則を紹介します。
- 好奇心を持ち、革新を止めない:L’Oréal の「テスト & ラーン (Test & Learn)」の文化こそが、迅速なスケールアップを可能にしました。インテント マッチや P-MAX で培った成功体験があったからこそ、AI 最大化設定という次のステップへ自信を持って踏み出せたのです。
- AI の力を現場に活かす:L’Oréal のように AI 活用をリードしている企業も、これから本格的な導入を検討している企業も、定型的な業務を AI に任せる(英語)のに今ほどの好機はありません。適切な基盤があれば、AI ツールはマーケティングをさらに進化させ、新たな需要と成長の機会をもたらします。
- インテントの移り変わりのスピードに合わせる:美容製品を買う人の行動は素早く変化します。スクロール中にトレンドを見つけたり、商品を調べたり、お気に入りのクリエイターがおすすめする次に試すべきアイテムを見つけたり。マーケターは、こうした行動の変化を捉えなければいけません。L’Oréal の広告は、より関連性を高めた検索語句のマッチングと、状況に合わせて変化するクリエイティブによって、購入者の目まぐるしい行動に適応しました。
- コストを抑えながら拡大させる:L’Oréal の事例が証明しているように、成長のために必ずしも高額なコストをかける必要はありません。より多くの人々へリーチし、エンゲージメントを高めながら、CPA を改善することも可能なのです。
L’Oréal は AI 最大化設定を導入することで、課題に挑み、単なる漸進的な改善の枠を超えて、2030 年の目標達成に向けた戦略を構築しています。AI 最大化設定のチリでの試験運用から世界的な拡大に至るまで、イノベーションと AI が融合することで、最も野心的なマイルストーンへの道が切り拓かれることを L’Oréal は証明しています。
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